所有権とは私有財産制の基幹を成す物権のひとつで、時効消滅しない最強の権利です。物権とは特定の物を直接支配して利益を得る排他的権利とされており、特に所有権は対象物を全面的に支配して他の者からの介入を許さない点が特徴です。所有権があれば同じ物について他人の所有を認めないことができます。他人が不法に占有すれば所有権を基に法的手段で排除することができます。
所有権を取得するには様々な方法があります。取得には2種類の方法があり、承継取得と原始取得と呼ばれています。承継取得は元の権利に付着した制限をそのまま受け継ぎますが、原始取得は何の制限も無い所有権を取得できます。承継取得は売買・贈与・交換契約等による特定承継と、相続などの包括承継があります。原始取得は、不動産なら時効取得、動産なら即時取得がメインになります。
時効取得は、一定期間所有の意思を持って他人の不動産を平穏・公然と所有した場合に認められます。即時取得は、第3者が占有開始の時に処分権限のない相手から有効な取引によって善意無過失で獲得したら、動産の所有権を得られるという規定です。また誰のものでもないという所有者不明の物については無主物先占という規定もあります。遺失物拾得や埋蔵物発見も原始取得が可能です。
不動産については登記の制度がありますが、登記があっても所有権の移転があるという証明にはなりません。これを公示の原則といい、登記が無ければ物権変動もないという解釈にとどまるという意味の規定です。これは公示があれば物権変動もあるという公信の原則と対を成します。所有権は対象物を引き渡した時に所有権が移動するとされており、登記簿の書き換えがなくても所有権は移転します。
ただし二重譲渡された場合など譲受人同士が所有権を争う場合には、登記を先に具備した方が所有権を取得できるとされています。つまり登記は誰かと所有権を争う際の対抗要件となるだけであって、所有権の所在を証明する実質的根拠にはならないのです。動産は自動車の登録制度などのほかは登記の制度が無いので、引渡しを受けて事実上の占有をしていることが対抗要件になります。これが先に述べた公信の原則です。